【求人データ考察:地方と都会の就職格差】転職や田舎へのUターン前に知っておきたい現実
2016/09/13
就職、結婚、転勤、転職、IターンやUターンにより、都会から地方へと移住する場合。特に20代・30代の方は一番の不安要素として「仕事」を挙げます。
噂では「地方/田舎には仕事が少ない」と聞くでしょうけど、実際のところはどうなのかピンときてない人も多いはず。
移住した後に後悔したのでは後の祭り。
今回はハローワークに掲載されている求人データを元に、地方と都会の就職格差について考察してみたいと思います。
都会と地方の就職格差
今回は次の2都県をベースに調査。
- 都会代表:東京都
- 地方代表:香川県
香川県を選んだ理由は
単に私の出身だからです。
調査にはハローワークの求人検索データなどを利用しました。
調査1:人口に対する求人数
まずは東京と香川の人口に対するハローワークの求人掲載数を見てみよう。
■2都県の人口
東京の人口は香川の約13.3倍
- 東京:1335万人
- 香川:100.6万人
■ハローワーク求人掲載数
東京の求人掲載数は香川の約8.7倍
- 東京:67,566件
- 香川:7,769件
■人口千人当たりに対する求人数
- 東京:5.06件/千人
- 香川:7.72件/千人
こうしてみると人口当たりのハローワーク求人掲載数は都会よりも地方の方が多い事が分かります。
「何故だか分かりますか?」
これはですね・・・「地方/田舎に行けばいくほど、仕事探しをする際のハローワークへの依存度が高い」ことを表しています。
…
例えば、大手転職エージェントに「リクルートエージェント」があります。
全国に16の拠点がありますが、香川県…というか四国には1拠点もありません。利用の際のカウンセリングを受けるには、瀬戸大橋を渡って岡山県に行く必要があります。
対する東京には千代田区と立川に2拠点ありますし、埼玉、神奈川、千葉、栃木にもそれぞれ拠点が存在します。
要するに、ハロワ以外の就職/転職サービスの充実度が都会と地方では全く違うわけです。
※勿論、求人票総数は地方の方が圧倒的に少ないので選択幅と言う意味では当然ながら狭い
調査2:最低賃金の違い
平成27年10月に全国一斉に最低賃金が上がりました。
ですが格差は
全く埋まらない。
- 香川県の最低賃金:719円
- 東京都の最低賃金:907円
- 香川と東京の差:188円
香川はこれでもマシな方で、全国には最低賃金700円未満の県が16県も存在します。最低賃金というのはアルバイトに限った話ではなく、正社員にも適用されることをお忘れなく。
参考:地域別最低賃金の全国一覧
調査3:求人の職種別割合
ハローワーク求人検索パソコンには「職種」という項目があり、求人票を11職種に分類する事ができます。それら職種別求人票の割合が都会と地方では大きく異なります。
※注意:インターネット検索を利用した場合の職種分類とは異なりますのでご注意を
職種別求人票の割合を示したグラフ
こちらが職種別求人票の割合。
- 東京の職種別求人票合計数:75,320件
- 香川の職種別求人票合計数:8,503件
都会では「専門・技術」といった理系職の求人が非常に多いのに対し、地方では「運送・土木・製造」といった肉体労働系の求人が多い事が見てとれます。
A:専門・技術・教育・管理職
- 東京:22.45%(16,906件)
- 香川:9.40%(799件)
- 差(香川-東京):-13.05%
いわゆるIT情報といった理系職に関しては、地方は圧倒的に不足しており、都会との差が顕著に表れています。
個人的な意見になりますが、平成27年度は「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、地方創生活動が全国的に盛んですが、仕事における職種/業種の偏りを解決しないと地方は本当に消える。
B:保険・医療・介護・福祉
- 東京:18.28%(13,767件)
- 香川:20.51%(1,744件)
- 差(香川-東京):+2.23%
医療や介護に関しては高齢化が進んでいる地域の方が求人は多いかな。
C:事務職
- 東京:13.94%(10,497件)
- 香川:9.51%(809件)
- 差(香川-東京):-4.43%
デスクワークは都会の方が多い。
D:販売・営業
- 東京:14.90%(11,223件)
- 香川:13.24%(1,126件)
- 差(香川-東京):-1.66%
営業系の割合は都会/地方の差は少なめ。
E:調理・接客・理美容・サービス
- 東京:12.32%(9,283件)
- 香川:9.97%(848件)
- 差(香川-東京):-2.35%
飲食店の数が多い分、都会の方が商売系の職に就く人は多いのかな。
F:施設および設備管理・警備
- 東京:3.86%(2,909件)
- 香川:1.65%(140件)
- 差(香川-東京):-2.21%
それほど大きな差はない。
G:運輸(運転)・配送関連
- 東京:3.48%(2,619件)
- 香川:7.87%(669件)
- 差(香川-東京):+4.39%
運送系の仕事は地方に多い。
H:建築・土木・造園・電気工事
- 東京:3.77%(2,836件)
- 香川:8.50%(723件)
- 差(香川-東京):+4.73%
ガテン系の仕事は地方に多い。
I:製造・修理・印刷
- 東京:4.17%(3,139件)
- 香川:13.89%(1,181件)
- 差(香川-東京):+9.72%
地方では職を増やす為に工場誘致を進めたりしていますから、それがデータとして表れていると思われる。
J:農・林・漁業
- 東京:0.03%(24件)
- 香川:0.61%(52件)
- 差(香川-東京):+0.58%
それほど差は無いが、特に都会で新規に農林漁業をやるのは厳しいみたい。
K:倉庫作業・清掃・その他の労務
- 東京:2.81%(2,117件)
- 香川:4.85%(412件)
- 差(香川-東京):+2.04%
この項はその他の仕事を含みますから割愛。
まとめ
そもそも地方と都会では求人票の総数が違いますから、同業種であったとしても地方になればなるほど選択肢は狭まります。
また、割合からも分かるように、特に「専門・技術・教育・管理職・事務職」といった理系職やデスクワーク系の仕事が地方では不足しています。
転勤で地方にとばされたならまだしも、理系人間がUターンで地元に再就職しようと考えていると、想像以上に難しく、辛い思いをするかもしれません。
もし地方就職を考えているのでしたら、ハロワだけでなく、転職支援サービスなども上手く活用し、仕事探しを成功させて下さいね。
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